6max ZOOMにおけるスチール・リスチール戦略②
リスチはポーラライズレンジで
リスチにおいて何よりも重要なのは、「リスチレンジ」です。
ZOOMでは相手のスチールレンジが広いので、リスチはバリューレンジを多めにしている(強いハンドのほとんどで3bしている)プレイヤーをよく見かけます。
しかし、自分はポーラライズレンジ(両極化されたレンジ)を好んで使っています。
強いハンドの一部をあえてコールに回し、逆に弱いハンドの一部をブラフ3bに回すのです。
以下、その理由を説明します。
「リスチの目的」と「こちらのハンドの強さ」
リスチの目的は、
①相手をプリフロで降ろす
②相手の弱いハンドからコールをもらう(バリューを取りに行く)
の2つです。
①の目的を達成するために、こちらのハンドの強さは関係ありません。AKoでも86sでも変わりません。
②の目的を達成するためには、こちらのハンドは相手がコールしてくるハンドより強い必要があります。
これがめちゃくちゃ大切なポイントです!
例えばBUのスチールに対して、BBからAJでバリューのつもりで3bしたとします。
ここで、相手はAT以下は全て降りて、AJ以上でコール(あるいは4b)してくるとしましょう。
すると、自分より弱いハンドは降ろしてしまい、自分より強いハンドにだけ抵抗されてしまいます。これではバリューのつもりでした3bが、実はバリューになっていません。しかもAJ以上は降ろせないので、ブラフの機能も果たせません。
つまり、この3bは期待値マイナスになってしまいます。
また、25NLではこちらのリスチに対してブラフ4bしてくるプレイヤーも見かけます。
もし相手が4bしてきた場合は、悩ましいシチュエーションになってしまうでしょう。
それよりは、相手の弱いレンジを逃がさないようにコールで留め、こちらのエクイティが高い状態でポストフロップを戦い、長期的に相手の弱いレンジからバリューを取りに行きたいです。
上は極端な例なので、実際にはBU側ではATsやKQs、99などのハンドでもこちらの3bにコールしてくるでしょう。しかし、その場合でもこちらのエクイティはそこまで高くないですし、相手のスチールレンジ全体で見ると、降ろしてしまう弱いハンドの方が圧倒的に多いです。
なので、そこそこ強いハンドは3bではなくコールレンジ(のトップレンジ)として使います。
「相手の弱いレンジからバリューを逃がさないために」コールする感覚です。
OOPからのブラフ3bに適しているのは投機的ハンド
そこそこ強いハンドをコールに回したため、そのままではこちらのリスチレンジが狭くなりすぎてしまいます。
そこで、コールするには弱すぎるけど、降りてしまうのはもったいないハンドをブラフ3bに回します。
例えば56sやQ9sなどです。77やKQなどは先程の理由からコールに回します。
基本的に、OOPのときはエクイティの高いハンドはコール、投機的ハンドは3bに回してプレイします。
※IPのとき
逆に、IPのときはエクイティの高いハンドで3bし、投機的ハンドはコールします。たまに98sなどのスーコネでIPから3bするプレイヤーもいますが、IPの場合はプレイしやすいのでコールで十分と思います。ただし97sなどの1ギャッパースーティッドはコールするにはあまりに弱いので、ブラフ3bに回します。
SB戦略
SBからのリスチを制するものはZOOMを制す
ZOOMにおいて相手は幅広いレンジでスチールに来るので、SBからのリスチはかなり重要です。
また、SBからのリスチはコスパ抜群です。BBが出している1BBをデッドマネーとしてGETできるからです。
SBがコールすると
SBがコールした場合、BBはオッズがいいので幅広いハンドでコールしてきます。SBはフロップ以降を最も悪いポジションで、2人を相手に戦わなくてはなりません。
また、BBからスクイーズが飛んでくることが多々あります。BB側からすると、BUはただのスチールの可能性が十分にあり、SBは強さを主張していないので、どちらも降ろせる確率が高い。つまり絶好のスクイーズチャンスなのです。
SBが3bすると
一方でSBが3bした場合、BBはマージナルハンドでは参加しにくくなります。
SBが強さを主張しているし、まだBUが4bしてくる可能性も残っているため、中途半端なハンドではコールできません。なので、既に出した1bbのブラインドを諦めることが多いのです。
SBから参加するときはリスチを増やす
よって、SBからのコールレンジはできるだけ減らして、3bのレンジを広くすることが重要です。
ここではバリュー3bレンジを増やすとともに、バランスを取ってブラフ3bレンジも増やします。そうやってポーラライズさせたレンジで、積極的に3bしていきます。
リスチ前に確認すること
リスチするときは、相手のFtRS(フィールドtoリスチール)と4b率を確認します。データが貯まっていない場合は、基本となるレンジ通りにプレイします。
その場合でも、相手のST率やFt3bから、ざっくりレンジとアグレッション推測しながらプレイします。
(参考)コールで参加するとき
それでも先程の趣旨で、相手の弱いハンドを逃さないためにあえてコールで参加するときもあります。
そのときはBBの「SQ(スクイーズ)率」を確認します。3b率と比較してSQ率が高いときはスクイーズが好きなプレイヤーなので、注意が必要です。
こちらのハンドがかなり強ければSQにもコールできますが、SQされると困るハンドの場合は、素直に3bします。
レンジの紹介
SBvsCO
SBからCOに対しては、やや狭めのレンジで、少しブラフヘビーに3bします。
JJ+、AKをバリューで、それ以外はブラフでポーラライズさせています。
KTsやQTsは、降りるのはもったいないですが、コールするには弱すぎるため、ブラフに回します。
SBvsBU
SBからBUに対しては、かなりブラフヘビーに広いレンジで3bします。
TT+、AKをバリューで、それ以外はブラフでポーラライズさせます。
相手のST率があまりに高ければより広いレンジで3bし、低ければ狭いレンジで3bします。
BB戦略
BBの場合、SBに比べるとオッズがいいので、全体的な参加率はかなり増えます。そして、バランスを取るためにリスチ(3b)のレンジも広くなります。
BBでも、エクイティの高いハンドはコールに回し、投機的ハンドを3bに回します。SQされる恐れがないためSBよりも広めのハンドをコールに回して、代わりにより弱いハンドで3bします。
BBからのSQ
もしSBがコールで参加してきたときは、狙い時です。積極的にSQを仕掛けます。
ただしレンジに無いハンドを無理矢理使うのではなく、普段はコールするハンドの一部を3Bに回すイメージです。
スモールステークスはレーキが高いので、ルーズにプレイする必要はありません。あくまでタイトアグレにプレイするよう心がけます。
(参考)コールで参加するとき
先ほどの趣旨でコールで参加するときは、相手のレンジは広いままです。なので、相手のスタッツとボードをしっかり見て時にはタフに戦います。
勝ってると判断したときはハイカードでコールしたり、バックドアドローでフロートして、ターンでドローになるカードを引いたらアグレッシブにプレイしたりします。また降ろせると判断したときは、CBに対してカジュアルにレイズします。
レンジの紹介
BBvsCO
BBにおいても、COに対しては、狭めのレンジで、少しブラフヘビーに3bします。
SBと比べると、コールレンジを広げる代わりに、より弱いハンドを3bに回します。
BBvsBU
BUに対しては広いハンドでコールする一方、かなり弱いハンドをブラフ3bに回します。
AJやKQがコールしてくれるので、AQもバリュー3bレンジに加えます。相手によっては99を加えてもいいでしょう。
またBUからのスチールに対しては、相手のスタッツをよく観察してレンジをアジャストします。
具体的には相手のタイプ別に、以下のように対応します。
①ST率が高くてFtRSが低い相手
→弱いハンドでスチールにきて、さらにこちらのリスチにもコールしてくる相手です。なのでこちらはAJや99をバリュー3bに加え、逆にブラフ3bレンジのうち弱いハンドは無理せずフォールドします。
②ST率が高くてFtRSが高い相手
→弱いハンドでスチールに来るものの、リスチには大人しくフォールドする相手です。ブラフ4bレンジが薄い相手とも言えます。なのでこちらはブラフ3bを増やして積極的にリスチに行きます。ただしコールされたときは、あまり無理しないように注意します。
③ST率が低い相手
→強いレンジでスチールに来ているので、ブラフ3bレンジを狭めにして、かつコールレンジも狭めにします。つまりフォールドレンジを広くします。
スチールに大人しくフォールドするのは悔しかったり、リスチを仕掛けたくてムズムズするかもしれません。ですが彼らは一部のハンドでスチールを諦める代わりに、レンジ全体を強くしてポストフロップで回収するスタイルで来ています。なので、こちらが通常のレンジで対応していると長期的に搾取されてしまいます。
④プリフロアグレッサー
たまにST率が高く、かつ(バランスも取って)4b率も高くしている相手を見かけます。
そのときはブラフ3bを減らすか、ブラフ3bは変えずにブラフ5bAIを増やして対応します。
ただし…ブラフ5bAIを増やすとその成否によって成績が激しく上下してしまいます。
またレンジ上の戦略とは言っても、モンスターハンドにさくっとコールされた際には「やっちゃった感」に苛まれるでしょう。(何度も経験済み)
なので自分はブラフ3bはいくらか諦めてフォールドし、代わりにコールレンジを強くしてポストフロップで回収するスタイルを取っています。
プリフロアグレッサーはポストフロップもアグレなことが多く、強いハンドでコールしているだけでバリューが取れるためです。
ブラインドバトルを楽しむ
CO~BBまでのブラインドバトルは、キャッシュ、トーナメントに限らずポーカーでは最も多いシチュエーションです。特に6max ZOOMではブラインドバトルこそが勝負所だと思っています。
またお互いのレンジが広いので、ポストフロップのスキルが最も発揮される場面だと思います。
上手くなるための練習としてどんどんチャレンジし、失敗や成功を積み重ねて、常に最善のプレイを求めていきます。